「ナン・ソー・ヴァイル」クリプトプシー定価: ¥ 1500ロード・ワーム(vo) ジョン・レヴァサー(g) エリック・ラングロイス(b) フロ・モーニエ(dr)カナダ産ブルータル・デス、Cryptopsyによる1996年発売2nd。とにかく凄まじい。デビューは1994年と、デスメタル第1世代からはやや遅れた感があるが、フロリダやニューヨーク発祥の初期デスを踏み台にし、前人未到の激音領域に到達したバンド。まず嫌でも印象に残るのが、ロード・ワームの醜悪なゲロ声。何を言っているのか全く聞き取れない。いままで数多の猛者たちが、彼のヴォーカルと歌詞カードの照らし合わせに果敢に挑み、そして諦めていったという。ヴォーカル以上にヤバいのが、フロ・モーニエのドラム。元々ジャズの素養もある彼が叩き出す、不定形の化物みたいなビート。直線的な疾走はもちろん、ブラストビート、変拍子、手数足数の異様な多さ。そして、あらゆるスタイルに対応するその柔軟さ。ギターのジョン曰く「誰がどんなアイデアを持ってきてもこなしてしまうドラマー」だとか。知性と獣性のせめぎ合い。緻密に構築された壮大な音の迷宮。この「音の塊」としか形容できない楽曲群を、単なる雑音ではなく、極めて高次元のアンサンブルだと捉えることができたなら、おめでとう。あなたは立派なデスメタラーです。演奏時間は合計32分ほど。しかしあまりにも濃密すぎるため、全曲聴き終わった後の疲労感は異常。ラストの「go ahead and run! run home and cry to mama!」のセリフの後に、フッと安堵の吐息を漏らしてしまう。彼らは間違いなく、デスメタルにおける『最速・最凶』を更新した存在である。 #クリプトプシー #CD・DVDブルータルデスメタルブルデスcryptpsyデスメタル